ヒョードルはなぜ UFC に行かなかったのか?

直近の試合は、2021/10/24(日本時間)
ティモシージョンソンに勝利した
出典:この記事

 

 

こんにちは、山田です。

 

いまだに日本で老いも若きも(若きも?)議論しようとする記事名の問題ですね。

 

以下を参考して、まとめてみました。

 

参考:Fedor Emelianenko(Wikipedia英語)

参考:エメリヤーエンコ・ヒョードル(Wikipedia日本語)

参考:Finding Fedor(Sherdog)

 

最後のSherdogの記事が本命なんですけど、感傷的でヒョードル寄(よ)り、というかヒョードル側へのインタビューで構成されているので、なんとも言えないです。

 

私は、ダニエルコーミエの色眼鏡↓でSherdogの記事を読みました。

 

参考:ダニエルコーミエがヒョードルを「よくて平均」と形容する

 

とりあえず、まとめてみます。

 

ダナホワイトが欲しがっていたのは確か

見てのとおり、到底
いいヤツには見えないんだけどさ・・・
出典:この記事

 

 

UFC自身がヒョードルを熱望していたのは事実です。

 

ダナホワイト「ヒョードルは一時期、私にとっては強迫観念みたいなものだったさ。どうしてもプロモーションに欲しかった。恐らくファン以上にね。」

White said of Emelianenko; “He has become my obsession. I want it (him in the UFC) worse than the fans want it.”

元ネタ: Dana White plays up obsession with Fedor Emelianenko. USA Today. 9 April 2010. Retrieved 26 November 2011.リンク切れのため上掲Wikioedia英語記事が出典

 

たぶん、今なお伸び悩んでいるヘビー級を活性化させたかったのでしょう。当時はブロックレスナーがUFCに参戦して、ヘビー級がメインになりそうな兆候をみせていた時期でした。

 

ダナホワイトは、ブロックレスナー vs. ヒョードルをやりたかったみたいです。

 

 

勝ち逃げできない

 

さて、このダナホワイトからの熱烈ラブコールに、ヒョードルは応えませんでした。

 

これは上掲Sherdogに詳細に書かれていることですが、逃げ場のない契約を突き付けられたからだ、と説明されています。

 

ヒョードル「私自身はダナホワイトに一度も面識はない。メールとかでもだ。」

ヒョードル「でも私の代理人や、ネット情報を通して、どんな契約か、徐々に見えて来た。」

ヒョードル「ひと言でいえば、勝ち逃げできない、ということだ。」

ヒョードル「UFCのつきつけた条項は、こうだ。勝ち続けたなら、2年で8試合。負けた時点で契約廃棄。」

ヒョードル「2年8連勝なら、自動的に契約続行。」

“I never met Dana White, never spoke to him on the phone, never exchanged e-mails,” Fedor said. “However, I did read a lot on the Internet about what he said in regard to me and Vadim. I also read e-mails that he sent to Vadim; all of his correspondence was very upsetting. The contract that we were presented with by the UFC was simply impossible, couldn’t be signed — I couldn’t leave. If I won, I had to fight eight times in two years. If I lost one fight, then the UFC had the right to rip up the contract. At the conclusion of the contract, if I am undefeated, then it automatically extends for an as yet unspecified period of time, though for the same compensation.

 

他団体など外部活動原則禁止

 

ヒョードルは続けます。

 

ヒョードル「UFCの許可がなければ、あらゆる外部活動禁止だった。」

ヒョードル「あらゆるマスコミ出演禁止。」

ヒョードル「母国ロシアでのサンボ大会なんかも出られなくなる。」

ヒョードル「ぶ厚い18ページの契約書を前にして、私は顧問弁護士と相談し、これには手を出さない方がいい、と結論づけたんだ。」

Basically I can’t leave undefeated. I can’t give interviews, appear in films or advertising. I don’t have the right to do anything without the UFC’s agreement. I could do nothing without the OK from the UFC. I didn’t have the right to compete in combat sambo competition. It’s my national sport. It’s the Russian sport, which in his time our president competed in, and I no longer have the right to do so. There were many such clauses; the contract was 18 pages in length. It was written in such a way that I had absolutely no rights while the UFC could at any moment, if something didn’t suit them, tear up the agreement. We worked with lawyers who told us that it was patently impossible to sign such a document.”

 

 

総評

 

以上が、ヒョードルがUFCに行かなかった理由です。

 

ヒョードル側からのバイアスの効いた、つまりUFCへの批判めいた見方で提示されたものなので、当然、そうだね、それはUFCに行かないよね、と読者を納得させる方向で提示されています。

 

ただ、冷めた目でみるとどうでしょう。

 

勝ち逃げできない、とは言っていたが・・・

 

ヒョードルは、UFCの出した契約では勝ち逃げできない、と言っていますが、Sherdogの記事の出た2007年の3年後、2010年からStrikeforce(Bellatorの前身)で3連敗を喫しています。

 

2010年6月Strikeforce, 対Fabrício Werdum, 1R腕ひしぎ負け.

2011年2月Strikeforce, 対Antônio Silva, 2RTKO負け.

2011年6月Strikeforce, 対Dan Henderson, 1RTKO負け.

 

むっちゃ弱いです。

 

ただ、ポイントは、この試合間隔は↑年2試合程度じゃないですか。

 

結論に飛んでしまえば、2年で8試合というのが過密すぎたのではないでしょうか。

 

セッティング的に、ヒョードルは1試合目からチャンピオンになったでしょう。だとすれば、チャンピオンに”3か月に1回(2年で8試合)”試合させるのは異常にみえます。

 

他方、UFCの許可なければ外部出演禁止うんぬん・・・はプロモーション的にヒョードルを独占したいでしょうから、そんなにおかしなこととは思えません。

 

結局、試合スケジュールがキツすぎる、というのが根っこにあったのではないでしょうか。

 

でも、だったら負ければいいじゃん、ってなりますよね。

 

しかし、そうするとダナホワイトに捨てられるかたちになります(上記契約規定より)。

 

ヒョードルは、こういったかたちで名声が傷つけられるのを嫌がったのも確かでしょう。それが、勝ち逃げできない、という言葉の真意だとおもいます。

 

他方、ダナホワイトは、どっちに転んでも(ヒョードルが勝ち続けても、負けても)、UFCというブランドを高められます。

 

これはひどい!とおもうかもしれませんが、恐らく、ダナホワイトの魂胆は、そういったこと全部ひっくるめてカネで解決(潤沢なファイトマネーをヒョードル側に渡す)、だったんでしょう。

 

どうでしょうか?

 

ダナホワイトが、ヒョードルを利用しようとし過ぎた、というのも確かです。

 

ただ、たとえヒョードルが負けて引退したとしても、UFCはヒョードルをレジェンドとして殿堂入りなりなんなりして末永く手厚くもてなす・・・こういったところをダナホワイトが強調し損ねた、交渉力のなさも一因だったようにみえます。

 

・・・・・

 

それでは、今回はここまでです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。m(_ _)m

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